中古車のFD3S RX-7を買ってこれから乗れる限り乗るぞ!って意気込む方に知って欲しい、維持やメンテナンスに関すること。はっきりいってFD3S RX-7を乗り続けるにはお金がかかりますからね。
FD3Sは現行のスポーツカーでもない20年落ちの旧車ですし、多くの車両が採用しているレシプロエンジンでもありません。「だからしかたない」といえばそれまでですが、それでも日頃のケアやメンテナンスで維持費や修理代はずいぶん変わってきます。
この記事では僕がFD3S RX-7を快調&なるべく壊さないように維持するために実践したり、お客さんにおすすめしていることなどについて触れたいと思います。
ブーストアップ仕様やパワーFC装着車などは絶対!現車セッティングをやってください!
強めのタイトルですw
でももし、ブーストアップ仕様やタービン交換車などのFD3S RX-7を買おうとしている、あるいはそういう仕様にしたいと思っている方は必ずやってください。絶対です。
必ず信頼できる方に現車セッティングを取ってもらってください。
やらないと、全開にしたら一発で壊す(エンジンブロー)なんて可能性がとても高いです。冗談でもないですし、ハッタリでもないです。
(デモカーや販売車両を作るのにそういう車が入庫したとき、セッティングデータや現調取ったらマジかwwwみたいなことは本当に多いんです。というか、ほとんど…)
で、その現車セッティング。おすすめする理由としては2つあります。
1.今のロータリーのコンディションに燃調や点火時期が合っているか
まず1つは燃調や点火時期等でロータリーエンジンを壊さないためです。ロータリーエンジンは日々の使用や経年劣化などで圧縮比等の数字が刻々と変わります。レシプロエンジンとは比べ物にならないくらいw(圧縮比は必ず減るわけではないです。上がるものもあります。)
そのコンディションに見合ったECUセッティングでないと、全開にしたりブースト掛けたりすると簡単にブローします。
FD3S RX-7に乗り続ける上ではいずれ、ロータリーエンジンのオーバーホールは必須ですが、このセッティングをマメにやるかどうかでそのオーバーホールの頻度や走れる距離数はずいぶん変わってきますよ!
2.セッティング前には入念な点検が行われる
現車セッティングを取るもう1つは、全開負荷を想定した点検にあります。
現車セッティングをショップなどにお願いする場合、「はい、わかりました!ではシャシ台回します!ぶーーん!!!」みたいなことはありませんw
全開領域までセッティングを取るのであれば、基本的に通常点検以上の入念な点検が行われます。その段階で問題や懸案点が見つかると、それらを対処してからでないとセッティングをしてもらえませんから、ここでも壊すリスクを回避できます。(どのショップも、セッティング中のエンジンブローは避けたいですからね)
サーキット派は定期的にセッティングを
あ、ついでに言っておくとサーキット走行をされる方は、目安として1~2年に1回くらいの頻度で定期的にセッティングを取ってもらってください。(どれくらい定期的にかは走るサーキットやその頻度にもよります)
もちろんできるだけマメな方がいいですし、その方が壊さず&調子よく乗れますから。エンジンブローすると被害規模によっては最低でも50万円からの出費は簡単に発生しますので、そうならないために&調子よく乗るためにもブーストアップ仕様やタービン交換車に乗る場合は、必ず定期的にセッティングを取ってください。
もちろんエンジンセッティングは、誰がどういう用途・どういうコンディションでセッティングするかもとても重要ですが、まとめきれないのでそれは割愛w
420馬力!パワーFC付き!フルタービン仕様!っていうFD3Sが入庫したけど・・・
以前、FD3S RX-7が入庫したとき、「タービン交換車!パワーFCで420馬力!」っていうプライスカードが入っていたことがありました。
履歴などを見ると某ショップで作った車でしたが、詳しく見たら冷却系は貧弱だしインジェクターはノーマルじゃん。。。
「こんなこと謳うんだったら物理的に一発屋のセッティングじゃないとそんな馬力出ないでしょw」・・・って見たらすご~く薄い燃調(というか、ノーマルインジェクターじゃそもそも足りません)で、全開にしたらいつ壊れてもおかしくない仕様でした。
もしこのFD3S RX-7を「ロータリー初めて」って人が買ってたらと思うと、ぞっとします・・・
オイルやプラグ交換などの定期メンテナンスは距離よりも走った内容に応じて
次にどの仕様のFD3S RX-7にも共通する話の定期メンテナンス。ロータリーエンジンだからという特殊なことはあまりないですけど、レシプロエンジンに比べたらマメにやることを強く推奨します。
ただ、ここで間違ってほしくないのは「マメにってことは距離短め?」と思われてしまう事。間違ってはいないんですけど、現実には走った内容に応じてマメにやってねって感じです。
例えばエンジンオイル。(これについてはロータリーエンジンだからっていう要素も入るかもしれません…)
FD3S RX-7の場合、水温や油温が高温になる状態を一定時間維持すると、エンジンオイルがガソリンで希釈されてシャバシャバになります。それこそ水みたいにw
なのでサーキットでの全開走行などの高負荷を維持する走らせ方をしたら、エンジンオイルを確認してシャバシャバだったり汚れがひどい場合は即・交換してください。
「まだ1000キロくらいですよ?サーキットは何回か行きましたけど・・・」
ってお客さんもいましたが、まずオイルみて!ホントにシャバシャバになってるからw
そんな状態で乗り続けては当然、エンジン本体の各所が痛みますので、オーバーホールの頻度を上げることに直結します。もちろん、そういう全開走行などをしなくとも日々の使用でエンジンオイルは汚れますので、こまめにレベルゲージを抜いてエンジンオイルのコンディションを見ながら交換するかの判断をして下さい。
あと、街乗りなどの通常走行でもどんなに遅くとも2000-3000キロ走ったら換えたほうが良いです。経験上。
※劣化具合ですけど、使用するエンジンオイルによってもだいぶ変わります。ここでは詳しく触れませんけどw
で、エンジンオイル換えるついでにチェックしたいのがスパークプラグ。
こちらも通常走行でもレーシングプラグを使用している場合は2000-3000キロ毎にってところですが、定期的に確認して電極が丸まってきたら早目に換えてください。始動性も変わってきますし、不慮のトラブルに見舞われる頻度(エンジンかぶりなど)もだいぶ減りますからね。
ノーマルプラグを使用されている場合は3000-5000キロが目安。でも、圧縮が落ちてたり始動性が悪い場合は早目に換えてください。
駆動系のオイルもエンジンオイル毎?ではないですが、渋くなったら早めに
「エンジンオイルを換えるついでにやった方がいい?」と聞かれることが多いミッションオイルやデフオイルの交換。
僕は正直、駆動系はそこまでシビアに考えいません。どちらかというとシフト操作が渋くなってきたと思ったら換えています。とはいえ、だいたい夏場とかにサーキット走行するとすぐに渋くなりますけどねw
(そもそもFD3S RX-7のミッションって、現行車などと比べると経年劣化や走行でシンクロなどが痛んでいて入りが悪い、なんてケースも多いです)
車検などのタイミングではクーラントや燃料系のリフレッシュをおすすめ
次に年1回や車検などのタイミングでやった方がいいのは冷却系や燃料系のリフレッシュです。
冷却系はクーラントの入れ替えですが、これは冷却性云々などよりも、意味合いとしてはロータリーエンジンのオーバーホールの延命措置の方が強いです。
要オーバーホールのロータリーエンジンのほとんどは、水周りが錆び始めてて錆び水が循環しているケースが多いです。きっちりオーバーホールしてあるなら大丈夫ですけど、錆びって結構進行するんですよね。それもクーラントを介して…。
そのため、せめてもの措置として遅くとも車検のタイミングではクーラントは換えてください。錆び水を循環させておくよりもだいぶましだと思いますからw
次に燃料系ですが、ここはフューエルポンプやそれに付随するホース類、そして出来ればインジェクターやそのOリングなどです。
燃料系のトラブルってホント、すぐにエンジンブローに直結します。最悪壊さないまでも、ロータリーエンジンにとって深めのダメージを与えますので、きっちりやっておきたいです。
特にエンジンブローに直結するといえばインジェクターですが、吐出量が正常値になっていないものも多いのでその点検と、燃料漏れ⇒エンジンルームから出火とならないように、関係するOリング類は点検・交換しておくと安心です。
あと、ついでに言っておくとこの辺りのリフレッシュをするタイミングではハブ周りのチェックをしておくことをおすすめします。(サーキット走らない人でもですよ)
ハブのガタツキは割と定番トラブルですし、早めに対処しておくと足周りの他の部分へダメージを与える可能性も低くなりますからね。(サーキットを走る人は縁石乗る・乗らないを問わずこまめなチェックを!)
FD3S RX-7でサーキットを走る人はココも定期的にチェック
車検などのタイミングかというと微妙な感じですけど、FD3S RX-7でサーキットを走っていて、踏める人はタービンやエキゾーストマニホールド、フロントパイプなどは割と簡単にクラックが入ります。
走り方とかクルマの仕様にもよるので何とも言えませんが、サーキット走行をされる方はだいたい1~2年くらいで割れる車がほとんどです。もちろん日頃からチェックした方がいいですが、車検の時にはより入念に調べるようにした方が無難です。
コンパクトカーの維持とはまるで違うFD3S RX-7。予算立てした上での維持を
はっきりいってFD3S RX-7の維持についてはコンパクトカーとはまるで違います。きちんと理解したうえで乗り、メンテナンスをしないとすぐに壊れてしまいますし、相応に修理費用も掛かってしまいます。
けれども、走行に応じた日頃のケアや日々走る中で違和感を感じたことなどを早めに対処していけば、そこまで大きなトラブルに巻き込まれることなく維持することができます。
もちろん、クルマの仕様やチューニング内容が変わればケアするポイントも変わってきますので、そこは主治医のショップなどによく相談することも大切です。
初めてFD3S RX-7を買った方の中には、「頑張って仕事して稼いだ分を全部チューニングに♪」なんていう方もいますが、維持や修理に関することを全く考えないのは正直危険です。車が壊れないならいいですけど、乗っていればいずれエンジンブローなどの大きめの修理は必要になります。
「えっ、考えてませんでした。修理代にあてるお金は無いです」となると、せっかく手塩にかけて大事にしてきたFD3S RX-7も、降りるか盆栽にするかしかないって悲しすぎますよね。
大切なのはあらかじめそういう車で、維持するためにはこういうことをしたほうが良いと知っておき、お金を含めて備えておくことです。ここに書いたことは一部にすぎませんが、「ロータリーがそんなクルマなんて知りませんでした」ってならないよう、購入を本気で検討している方のご参考になれば幸いです。
まぁ、言いたいことは他にもたーくさんあるんですけど、1記事ではまとめきれないので追って書いていこうと思いますw