FD3S RX-7の中古車を買おうとされている方はきっと、このサイト以外にも「選び方のポイント」や「失敗しないための注意点」などをネットなり書籍なりで調べていらっしゃることでしょう。
この記事では、僕なりのFD3S RX-7選びのポイントや友人が中古のFDを買うっていう場合に話していることなどをまとめたいと思います。
といっても、基本的にはロータリーエンジンのことが中心ですし、他の方々が言っていることと被るかもしれません。また僕なりの考えでは「FDはそういう車」として割り切った考えも入ってますので、そこはあしからずw
中古でFD3Sを買う時の前提条件と割り切りポイント
僕は今まで自分で乗る・販売車両を作るなどで、多くのFD3S RX-7を買い、車両を作ってきました。
いろんな中古のFDを買い、失敗し、時にはラッキー♪なんてこともありましたが、それらを踏まえて言わせて頂くと、中古車のFD3S RX-7を買うには「前提条件や割り切るべきポイント」というのがあります。
「いずれオーバーホール」は覚悟して
まず、乗り続けるならどうせいつかはオーバーボールということです。
この事実はロータリーエンジンならば変わりません。(もちろんレシプロもそうなんですけど、通常のエンジン寿命としてはロータリーエンジンは短めなので)
なので、中古車のFD3S RX-7を買う時によくいわれる「圧縮比が~」や「水喰いが~」などありますが、いずれオーバーホールするなら、エンジン以外のところが問題なくて割安ならいいじゃない?ということ。
もちろん、エンジン本体の調子が良い方が間違いないですけど、そこに執着しすぎるのはどうかと思います。そもそもFD3S RX-7に乗り続けるのであればそこは許容しなければなので、今のエンジンコンディションを気にし過ぎて他のチェックがおろそかになる方が怖いです。
圧縮比はあくまで目安。今、調子はいいの?
ロータリーエンジンの場合、「圧縮比は出来れば〇〇以上」のように言わることが多いですが、前述したとおりいずれオーバーホールと覚悟するなら正直どうでも(とは言い過ぎですが)いいです。
僕としてはそれよりも、買おうとしている中古車のFD3S RX-7が「今、調子が良い」なら圧縮比の数値に固執する必要は無いと思っています。
ロータリーエンジンの特殊なところの一つですが、ちょいブローしていても普通にエンジンがかかりますし、何なら街乗り程度は普通にできます。
そのため、圧縮比が相応でもエンジンブローしている状態で売られている個体も多いですし、逆に圧縮比が落ちてても全然問題なく全開で走れる個体だってあります。大切なのは圧縮比の数字だけで一喜一憂して購入し、「こんなはずでは」とならないことです。
ロータリーのコンディションの見極めで大切なポイント、圧縮比
ロータリーエンジンのコンディションチェックでは各燃焼室の圧縮比は大切な要素です。
でも、本当に大切なのは圧縮比の数字が高い・低いではなく、前後3部屋のばらつき具合が本当に抑えたいポイントです。
とはいえあくまで目安ですが、2ローター分の3燃焼室の計6部屋分の圧縮比の差が0.7以内であれば数値としては安心できる範囲です。
圧縮比の高さも大切と言えば大切ですが、この数字は温感か冷間か、長期間始動していなかったか昨日まで走っていたかでだいぶ変わりますので、絶対的な数字ではありません。あくまでばらつきを見ましょう。
また前述しましたが、圧縮比や数字は問題なくても調子の悪いロータリーエンジンもびっくりするくらい多いです。
原因は様々ですが、実際にエンジンかけて始動性が悪かったり異音や違和感を感じる場合、エンジンになんらかのネガがあることを踏まえて車両の価格を見極めてください。
エンジンは過去にオーバーホール済みかどうか
5型6型のFD3S RX-7の中には、今までロータリーエンジンのオーバーホールをしなかったという個体も割と存在します。
そういう中古車の場合、エンジン本体や補器類のコンディションは基本的に同じ距離の分だけ劣化しているので、オーバーホールの目安や交換部品の選出などは比較的しやすい状況です。
問題となるのは、過去にロータリーエンジンのオーバーホールをした、あるいはオーバーホール済みという掲載がついて販売されているFD3S RX-7です。
何が怖いかというと、エンジン本体がオーバーホールされているのは記載の通りかもしれませんが、補機類やタービン、電装系や冷却系などのエンジン本体ではないエンジン関係の部品がきちんとケアされているかがチェックする必要があるという点です。
ロータリーエンジンの場合、エンジン本体(いわゆるショートエンジン)がオーバーホールされているからと言って調子がいいわけではありませんし、補機類や冷却系がきちんとしていないと平気で壊れます。
そのため、「オーバーホールしてある」という記載や話は参考程度にして、今その車両が調子がいいか・どの程度の範囲をオーバーホールしてあるのかを出来るだけ調べる方が無難です。
「オーバーホール済み」だからと言って、一律でエンジンは問題ないのような鵜のみはしないようにしましょうw
納車後は絶対!これを準備してからFD3Sの中古車を買って!
このポイントは車両選びというよりも、買うとなった場合は必ずチェックやその準備してね、あるいは納車されたら全開にする前に絶対やってねっていう「購入前~納車直後」という狭間にある注意点です。
場合によっては販売店でも出来る、あるいは対応済みというケースもあるかと思いますが、大切なポイントなので絶対に抑えてください。
やらないとエンジンブローや火災になることもあります。
どのFD3Sでも絶対!やらないと火災に至るケースも
ばらさないとわからない部分なんですが、以下の2つはFD3S RX-7を買ったら絶対にチェックしましょう。
- インマニ(サージタンク)を外してインジェクタのガソリン滲み
- ソレノイド関係の動作やシリコンホースの劣化具合
もちろん、それがもう済んでいる上で売られているFD3S RX-7もありますが、この2つはエンジンの仕様やコンディションを問わず、即エンジンブローあるいは車両火災につながりますので絶対に抑えましょう。
販売店に相談して「うちでは…」となる場合、主治医となるショップを納車前に検討しておきましょう。
車両選びももちろん大切ですが、そのチェックができる環境をあらかじめ準備してからでないと、FD3S RX-7の中古車を買う場合には非常に危険です。
サブコン付きやブーストアップ仕様。今、セッティングとれてますか?
中古車のFD3S RX-7を買う中で、チューニングされたロータリーエンジンやそういう仕様の車両を買うというケースも多いかと思います。よくある例としてはブーストアップ仕様などのサブコン搭載車。
たとえばアペックスパワーFCはFD3S RX-7のコンピューターチューニングとしては定番で、中古車のFD3S RX-7でも「パワーFC搭載!」なんていう表記をよく見かけます。
その車両を買う場合、出来れば納車後にきちんと現車合わせでセッティングを取れる環境を用意してから買いましょう。(もしくは半年~1年以内にリセッティングされているのが理想です)
これはロータリーエンジンは燃調や点火時期がエンジン本体と合わないと、即・エンジンブローにつながるからです。
ロータリーエンジンのエンジンセッティングはその時時点のエンジンコンディションに深く依存します。そして日々の使用や経年劣化の中で圧縮比等のコンディションは変わりますし、販売車両の場合は長期間保管されていてセッティング取ったのは数年前なんてこともザラです。
FD3S RX-7の中古車で、「長期間保管されていて何年も前にセッティングを取ったブーストアップ仕様」を買い、納車の嬉しさから買ってすぐ全開にしてエンジンブロー…という若い子もいました。
これは数年前のエンジンコンディションと、長期間の保管を経たエンジンコンディションが違うため、セッティング取ったとはいえ今のそれとは状況が違います。街中で乗って調子悪い程度ならいいですが、買ってすぐエンジンブローは悲惨です。でも実は割と多い話なので、チューンドロータリーを買う場合は必ず抑えたほうがいいポイントです。
グロウでもパワーFC付きとかのFD3S売ってるけどどうなの?
ウチではそういう車両は納車整備の一環として必ずセッティングを再度取ってから納車しています。いや、冗談じゃなくてほんとに即ブローなんてことがありますからね…
たまに中古車のFD3S RX-7を買いましたよ♪っていう子が来て、「どれどれ」なんて見てみたらすんごく調子悪くて。詳しく見たらいつブローしてもおかしくない燃調だったwなんてことも数多く見てきました。
納車後すぐに壊してしまうと、金銭面での負担もすごく増えてしまいますからね。
「FD3S買ったのにしばらく不動だ…」「直せないから降りるしかないかも…」なんてことになって欲しくないので、手間もかかりますが、ここは省いてはいけない大事な大事な納車整備に一環です。
納車後慣らしもおすすめしたいことの一つ
ついでなので「グロウではこうしてます」っていうことの一つに納車後慣らしっていうものがあります。
これはお客様が車両を購入いただいた後、いきなり全開!を許可するのではなく、500キロ程度は慣らし相当の走らせ方をして下さいねっていうものです。(具体的にはハーフスロットルまででブーストは0.5相当、回転数は回しても5000rpmまで)
やらなくても問題ない車両もありますけど、基本的には半年~1年くらい店頭で保管されていた車両なので、いよいよ走らせるとなれば話は別。特に若い子でありがちなのはそのままストリートやサーキットに繰り出すなんてこと。はっきり言って壊するリスクが高いのでウチでは待ちなさいとしています。
500キロ程度の慣らしをすれば、それまで休んでいた車両でもいろいろ馴染んできますし、もし仮に不具合が出たとしても処置しやすく、致命傷につながりにくいです。
展示・販売されていた車両をそのままサーキットへ!なんて言うのをYoutubeやSNSで見かけますが、正直、入院していた人を退院したからフルマラソン出ましょうってくらいに感覚です。
FD3S RX-7は壊さないようにケアして乗るのが維持するうえで一番お金がかからない方法なので、もうすぐ納車♪という方には知っておいて頂きたいことの一つです。
「買うこと」よりも「買ってから」を準備することが大切
中古車のFD3S RX-7を買う中でのエンジンに関しては・・・という観点から見ると、ちょっと主旨がズレているかもしれませんが、納車直後やそれ以降のきちんとしたケアはとても大切です。
「自分で全部できます!」っていうプライベーターはホントに少数派だと思いますし、長くFD3S RX-7に乗ろうとすると信頼のおけるショップやガレージ探しも大切な要素になります。
「FD買った!あ、壊れた・・・、どうしよう」のではなく、買う前からそのあたりのことも配慮し、車両選びをすることをおすすめします。
冗談ではなくホントに納車直後に即・エンジンブローやエンジンから出火、なんてことも起こり得ます。特に火災につながる前兆がある車両も意外と多いので、トラブルになる前にきちんとケアしてから乗る・全開にしましょう。